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インタビュー2013-08-08

NYで唯一の日系4つ星ホテル「ザ・キタノニューヨーク」成功の秘訣とは?取締役副総支配人・小島恭之さんに聞く

 今年で創業40周年を迎える4つ星ホテル「ザ・キタノニューヨーク 」はニューヨーク市内で唯一の日系ホテルとして、快適・安全・親切をモットーとしたきめ細やかなサービスを提供している。今年6月4日には元ヤンキースの松井秀樹さんを迎え、マイケル・ブルームバーグ市長より同日を「キタノ・デー」に認定する祝辞が届けられた。日本の伝統を伝えながらも進化し続け長年成功し続けている同ホテルの取締役副総支配人の小島恭之さんに、ニューヨークでの成功の秘訣(ひけつ)について聞いた。

ニューヨークならではの日本のおもてなし

ザ・キタノニューヨーク ロビー

取締役副総支配人の小島恭之さん

—リピーター率45%を維持する秘訣とは?

現在「ザ・キタノニューヨーク 」のお客さまは、3割は日本から、残りの7割は米国内またはヨーロッパ、南米、アジアなどからお越しになります。日本的なきめ細やかなサービスを求めるお客さまも多いですが、それ以上に「第二の家」と感じているお客さまのリピーター率がとても高いです。お客さま一人一人の顔を覚え、快適に滞在できる環境を提供しているからだと思います。

—海外のお客さまにはどのようなきっかけで日本の文化に興味を持っていただくのでしょうか?

海外からのお客さまには当ホテルのサービスのみならず、日本文化を伝えるイベントを通し興味を持ってもらいたいと思っています。茶道や日本の「懐石」料理を楽しむ会を開催し、外国のお客さまで作法を知らなくても参加して楽しめるように工夫しています。これにより、海外のお客さまが身近に日本文化を感じていただけるように努力しています。

今年3月には全室のバスルームにウォシュレットも設置しました。日本では珍しくありませんがアメリカにはウォシュレットのようなトイレはなく、ご利用いただいたお客さまの反応も良く、フェイスブックに写真などを載せて話題になっているようです。

—日々どのような「おもてなし」を心掛けているのでしょうか?

ホテルでは約3カ月に一度のペースで社員全員に社員教育のトレーニングを行っています。お客さまを接客する表の社員と裏方のコックや客室の掃除をするルームアテンダントなどと一緒に行います。どの社員が欠けても良いおもてなしができません。「快適・安全・親切」なサービスを提供するために全ての仕事はつながっている意識を社員に持ってもらうために重要な役割を果たしています。

最近「FISH」というトレーニングを行いました。これはシアトルにあるフィッシュマーケットが発祥で、魚を買いに来る人や観光客をどう楽しませられるか考え編み出されたものです。このマーケットでは声を掛け合い、魚を投げたりして楽しませるのが一つの観光名物でもあります。お客さんのみならず、まず自分たちがどうしたら楽しく仕事ができるかを従業員一丸となって考える、という姿勢は私たちホテル業界にももちろん通じるものがあります。私たちが明るく元気でなければお客さまにその様子は伝わりません。

しかし、訓練と言っても堅苦しかったり、厳しかったりということはありません。どうすれば社員が楽しく仕事をできるのか、部署の隔たりを無くし、全員が対等な立場になって一番良い方法を考えます。役職関係なく社員同士の絆を深めることも、おもてなしをする上では重要になってきます。

2012年ニューヨークのベストコンシェルジュを
受賞した澤井雷太さん

—小島さんにとって「おもてなし」とは?

おもてなしとは「必要なときに提供できること」。またサービスの押し売りはしないということです。同じサービスをした際に喜ばれるときと喜ばれないときがあります。それは私たちの場所や条件によりその時の判断力に任されます。お客さまの様子を拝見しながら臨機応変に対応できることが求められます。

また、時代に合わせてサービスも変化しなくてはなりません。例えば昔はファクスだった通信手段がLANケーブルに変わり、今やワイヤレスになり、それに私たちも対応してきました。しかし、お客さまの中にはごくまれにファクスを好む方もいらっしゃいますので、今でもファクスのラインを残しています。キタノホテルでは新しい時代のニーズ合わせもしますが、昔からのやり方も捨てはせずに大切にとっておきます。

—経営者として大切にしていることはありますか?

オーナーの北野次登の教えに「一に人、二に物、三に金」があります。普通はホテルにとっての利益を第一に考えるかもしれませんが、私たちはこの教えに習い、まず人・社員を大切にし、マネジャーも一般社員も一緒に仲良く食事ができる環境を設けたりして社員が常にハッピーでいることをとても大切にしています。社員がいなければ何も成り立ちません。取締役副総支配人だからといって私が必ずしも偉いわけではありません。私も間違えることがあります。そんな時に指摘しあえる関係性でありたいと思います。

また、規則を守るだけではなく社員には判断力をつけるために私が責任を取るから「とにかくやってみる」の精神を教えています。問題にぶち当たっても、まずは自分で考え、どうしたらいいかを提案してもらい、それに対して私はイエス・ノーを返し、そこから問題解決につながる道を自分で捜し出します。

取締役副総支配人の小島さんと秘書の八重澤さん

—今後、「ザ・キタノニューヨーク」をどのようなホテルにしていきたいですか?

今後はニューヨークからもっと日本の伝統文化を発信していきたいです。現在ホテルの前には日本の旗が立っていますが、ニューヨークで日本国旗が掲げられているのは2カ所のみで、国連と当ホテルだけです。日本人としての誇りを持ち、受け継がれている日本文化の奥深さを多くのお客さまに伝えて続けていきたいです。

—ありがとうございました。

About

【プロフィール】
小島恭之(こじま・やすゆき)さん
1962年生まれ。東京都出身。成城大学経済学部経営学科卒業後、ニューヨーク州ポールスミス大学ホテルアンドレストラン経営学部卒業。1987年ホテルキタノニューヨーク(現ザ・キタノニューヨーク)入社。世界諸国のホテルにて経験を積み、1993年ザ・キタノニューヨーク開発準備室プロジェクトマネジャーとしてニューヨークに再着任。2008年より取締役副総支配人を努め、現職に至る。

【ザ・キタノニューヨークについて】
1973年7月に「ニューヨークキタノホテル」としてオープン。リンゼイ・ニューヨーク市長より「ニューヨーク市の鍵」を贈呈され、一躍有名になった。1992年より約3年半の改装工事を経て、1995年に現「ザ・キタノホテル ニューヨーク」として再オープンし、皇室を含む多くの著名人が定宿として宿泊。ホテル内ではニューヨークジャズクラブベスト10に選ばれた「Jazz at Kitano」や日本の「懐石」料理を提供しているレストラン「白梅」も経営。現在、ニューヨークで唯一の日系ホテルである「ザ・キタノニューヨーク」は細やかなサービスで多くの人に愛され続けている。

ザ・キタノニューヨーク
http://www.kitano.com

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福島県近江町の伝統工芸品「相馬焼」を説明する松永さん Photo Credit: Fellowship for Japan
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