ニューヨークのイーストビレッジの本格日本茶屋「Cha-An（茶庵）」（230 E 9th St 2nd FL）が8月に再オープンした。コロナの影響により一時休業していたものの、オープンを望む多くの声に応え、長期休業からの再開となった。

その他の「Cha-An（茶庵）」人気メニュー

　同店は、17年前に店主のトモコ＝ヤギさんがご主人でありパートナーのボン＝ヤギさんと共同で開業。「ニューヨークで日本のようにお茶できる場所を提供したい」というトモコさんの願いと、9.11を目の当たりにしたボンさんの「お茶で平和な世界になるように」という思いが開店のきっかけになった。

　開店して間もなくは、お茶は無料で出てくるものという文化が当時のニューヨークにあったことから、お茶を有料で提供することに抵抗のあるお客さんが多く、集客に苦戦した。まずはお店の認知度を上げるため、トモコさんはお菓子教室の実施を考案。美味しいお菓子の作り方が学べると口コミで人気になりお店全体の集客に結びついた。ニューヨークではコーヒー文化の方が根強く、コーヒーを提供すべきか迷った時もあったが、「お茶と日本の甘味処」を広めたい一心でお茶の提供を一貫して続け、様々な紆余曲折を経て、現在の茶庵となった。

　現在店舗では、手作りの白玉や餡子と日本から取り寄せる生麩や黒蜜を合わせた「Hojicha Anmitsu」、滑らかな舌触りが特徴の高級マスカルポーネと厳選した日本産抹茶粉や栗を使用し、日本の升で提供することから名付けられた「Matcha Tira Masu」など、和テイストの甘味はもちろん、洋テイストなトーストなど豊富なメニューを提供。自家製のパン生地の作成に時間をかけている「Egg Salad Toast」も好評。

　内装は、笹の葉や竹をあしらった京風の装飾が特徴で実際に使用されていた茶室をリノベーションした空間も常連客から人気が高い。同店近くのテイクアウト専門店「Cha-An BONBON」では、テイクアウト専門のメニューを提供している。