セントラルパークの西に位置する「New-York Historical Society Museum & Library（ニューヨーク歴史協会）」（170 Central Park West, New York）が11月11日、3年の修復工事を経て再オープンした。

　1804年に設立された同館は、ニューヨーク市最古の美術館として同市にまつわる歴史的な所蔵品を有する。併設された図書館には歴史的な参考文献が並ぶ。

　今回の修復工事では、70ミリオンドル（約72億円）の工事費を投じ、老朽化した建物を改装した。工事中は予約ベースで入館が規制されていたが、再オープンにより誰でも無料で館内を見学できるようになった。

　ガラス張りの入り口を入ると、1階にはタッチパネル式の館内情報板キオスクを設置。映画上映やレクチャーに使用できるシアターのほか、イタリアのヴェネト地方の料理を小皿でサーブするレストラン「Caffe Storico」も備えた。

　同館の見どころは、受け付けに飾られたキース・ヘリングの作品「Pop Shop」の原作やマルチメディアを使用したインスタレーション式の展示物など。再オープン後初となる展示として注目される「Revolution! The Atlantic World Reborn」では、アメリカ、フランス、ハイチの革命を交えた国間の相互関係を探る。

　館内には新たに、生前友人だったというエイブラハム・リンカーンとフレデリック・ダグラスの銅像も完成。リンカーンは、大統領選への出馬を助けたクーパー・ユニオンでの演説が知られる一方、ダグラスは奴隷制から船で逃れてニューヨークにたどり着いたことから、ニューヨークを象徴する人物として選ばれた。

　ニューヨーク歴史協会の社長でCEOのルイス・ミレルさんは「これまで所蔵品を一般に完全に公開することはなかった。これによって美しい宝物庫からアメリカを体験できる名所へと変わる」と話す。

　開館時間は、火曜～土曜＝10時～18時、日曜＝11時～17時。