アナ・スイさんやマーク・ジェイコブスさんなど著名アーティストやデザイナーを輩出してきたニューヨークの「Parsons The New School for Design(パーソンズ美術大学)」(66th 5th Ave.)は、高級ブランド「クリスチャン・ディオール」(以下ディオール)の元チーフデザイナー、ジョン・ガリアーノさんによるワークショップを開催すると発表した。
ワークショップは「SHOW ME EMOTION(ショー・ミー・エモーション)!」と題し、ガリアーノさんが4日間にわたり受講生にファッションデザインにおける「フィーリング」の可能性を探求する講義を行うという。受講生は最初の3日間、ガリアーノさんとデザインスタジオで過ごし、最終日はQ&Aを交えたディスカッションセッションとなっている。
ガリアーノさんはイギリス出身のファッションデザイナー。1996年にディオールのチーフデザイナーに就任すると、愛するシアター演劇とフェミニズムをもとにデザインした商品が次々とヒット。当時経営に苦しんでいた同ブランドの再建に大きく貢献した。2007年には自身の名前を冠した洋服とアクセサリーのファッションブランド「ジョン・ガリアーノ」を発表。2009年には活躍が認められ、フランス政府から「レジオン・ドヌール勲章」を授章し、世界的デザイナーとしてその名を轟(とどろ)かせていた。
しかし2011年、泥酔していたガリアーノさんは、パリのカフェで人種差別や反ユダヤ主義発言をして警察に拘束され、その後、両ブランドから解雇された。同年9月には人種差別的侮辱罪で有罪判決を受け、勲章も剥奪された。
同ワークショップの開催に喜びの声も多くある中、ガリアーノさんの過激な発言は現在も大きな論争を呼んでおり、一部の学生からワークショップ開催反対の声が上がっている。すでに300人以上から中止を求める署名が集まっており、同校の今後の対応が注目される。ワークショップの具体的日程は未定。