アメリカのレストランやホテル、タクシーなどのサービスを利用した際に支払う「チップ制度」は、日本をはじめとするチップ制度のない国からの旅行者にはなじみがなく、置き忘れたり、携帯でチップ額を計算したりと不便に感じる旅行者が多い。そんな中、ニューヨークの日系レストランで「チップ制度廃止」の動きが見られている。
マンハッタン市内で名店として名高いすし店「Sushi Yasuda」(204 E 43rd St.)では昨年からチップ制度廃止を始め、市民を驚かせた。レシートには「日本の習慣に倣い、従業員は十分な給料が支払われているためチップは頂きません」と記載。また、「居酒屋Riki」(141 E 45th St.)でも「日本と同様のサービスにする」とチップ制度を廃止し、徐々に広まる日系レストランのチップ制度廃止に、市民から喜びの声が上がっている。
通常では食事の合計額に対し15%~20%のチップを置くのが相場とされており、200ドル分食べた場合には約30~40ドルのチップを支払う。チップ制度廃止に伴いメニュー価格に値上がりもあるとされているが、従業員はチップ額に左右されずに安定した収入を得られ、チップ分を食事に使う人が増えるなど、同施策による店の負担は少ないとされている。来店客からは「チップを支払わない分、もっと気軽に食事を楽しめる」「チップを気にする必要がなくなったので会計が楽になった」などの声も。
ニューヨーク在住の日本人女性は「日系レストランでこういった動きが見られるのはうれしい。予算の決まった食事をしていても、最後にチップを含めるのを忘れていたこともよくあり、なかなかこの習慣には慣れなかった。今後もさらにチップ制度を廃止するレストランが増えればうれしい」と話した。