ニューヨークの公園史上最大となる「中学生パブリック・アート展」が4月29日、ユニオンスクエアで開催されたオープニングイベントとともに始動した。
1977年の創立以来、芸術を通して公教育を向上させ、子どもたちの潜在能力を最大に引き出すことを目的に活動する非営利団体「Learning Through an Expanded Arts Program(以下LeAp)」は、今年で3回目となるパブリックアート・プログラムを展開。ニューヨーク5区~10校の中学校に在籍する生徒が、それぞれ作り上げた作品を展示する。
作品は、学校の食堂にあるランチテーブルをキャンバスに、ギャングやドラッグ、犯罪と地域の抱える問題や環境問題、ティーンエージャーの妊娠、人種問題など、生徒たちが重要視する問題をテーマに制作。アクリル絵の具やコラージュなどの手法を使い、色鮮やかな絵やメッセージを用いて心こもったアートに仕上がっている。5月7日からは、ニューヨークの公園10カ所に各テーブルを展示し、地元住民にアートを通してメッセージを伝える。
制作にはクラス全員で2週間費やしたという「WAKE UP CALL」を制作した、ブルックリンの中学校代表のケイティー・ロペスさんは「地球の温暖化と地震をテーマにした。すべての人間にかかわる問題ということから、中心に置いた地球で両問題を連結させた。温暖化に対する行動は必然。地震で被害に遭った地域には、耐久性の強い資材を支援などできることはあるはず」と話す。
同プログラムには多くのアーティストも協力。作品の制作にあたり生徒たちは、アーティストのスタジオを訪ね、プロの芸術家が語る制作秘話を聞きアドバイスを受けた。イベント会場には、セントラルパークでのパブリック・アート「門」で有名な、クリストさんをはじめ、チャック・クロースさんなど著名人も参加し子どもたちを激励。「アートのほかに演劇や音楽のプログラムも行っている。いつでも基金は必要だが必ず継続させたい」と創立者のアリス・クリガーさんは話す。