特集

〈ビジネス〉アメリカで生き抜く術
ニューヨークで日本食材を使ったフランス菓子を提供する「Patisserie Fouet」エグゼクティブシェフ・白川仁恵さんに聞く

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 ニューヨーク経済新聞ではアメリカ・ニューヨークで活躍するビジネスパーソンに、アメリカでの経験や生き抜くための方法を「特集:アメリカで生き抜く術」として特集インタビューする。

 今回は、ニューヨークのフランス菓子店「Patisserie Fouet」エグゼクティブシェフ白川仁恵(よしえ)さんに、ご自身の仕事についてやアメリカで生き抜く術について聞いた。

ニューヨークで働くこと

—白川さんがニューヨークで働くことになったきっかけを教えてください。

 高校卒業後、日本の製菓店やレストランでパティシエとして約7年ほど働き、その後東京にある製菓学校にパティシエ講師として11年ほど勤務していました。2008年に製菓学校がニューヨークに製菓店をオープンするという話があり、エグゼクティブシェフとして働かないかとお声がけいただきました。元々海外でパティシエとしての働く経験をしてみたい意向があったことと、多文化が混在するニューヨークで働くことは自分自身のキャリアによい経験になると考えニューヨークで働く決意をしました。

 現在は3年ほど前からビジネスパートナーとともにイーストビレッジに「Patisserie Fouet」というフランス菓子店をオープンし、エグゼクティブシェフとして働いています。

—白川さんの現在の業務や1日のスケジュールを教えてください。

 「Patisserie Fouet」のエグゼクティブシェフとして新商品デザートの考案から実際のデザートやフードの調理を担当しています。現在はフードをメインで担当していますが、デザート担当シェフのサポートに回ってチームを支える役割も担っています。

(C)chenglinphoto/Patisserie Fouet

 1日のスケジュールはお店に9時に出勤し、11時の開店に合わせてフードやデザートの仕込みを2時間ほど行います。開店から13時までがランチタイムで、最近ではデリバリーも始めたことからフードやデザートのオーダーを今まで以上にいただいており、より忙しくしています。ランチタイム後は片付けとディナーの仕込みをしながら、16時以降提供しているお酒とペアリングで提供している温かいスフレデザートの準備をしています。

「Patisserie Fouet」について

—「Patisserie Fouet」のユニークなポイントを教えてください。

 Patisserie Fouetの大きな特徴は、日本食材を使用したフレンチデザートを提供しているところです。抹茶やゆずなどのニューヨークでもよく知られている食材だけでなく、デザートに使う食材としては珍しい蕎麦の実を使った「蕎麦プリン」や八丁味噌とピスタチオと一見意外と思われる組み合わせの「味噌ピスタチオパウンドケーキ」などひと味違うオリジナリティのあるものを提供しています。

 実は元々は日本食材に使う事に全く興味がなかったのですが、ニューヨークで働いて経験を積んでいくうちに日本食は健康的なイメージが米国であり、お客さまからのリクエストを頂くことが多いことに気付きました。ビジネスチャンスだと感じ、日本食材の使用を始めました。取り扱っていくうちにアメリカの家庭ではなかなか食べる機会のない日本の食材を、身近に美味しく味わってほしいという思いも芽生え、今ではこだわりを持って日本食材をデザートに使用して提供しています。

—新しいデザートメニューを創作するにあたって、工夫・参考にしていることを教えてください。

 お店のコンセプトの「日本食材を使用したフレンチデザートの創作」を軸として、お客さまに目新しいと思わせる「サプライズ要素」だけではなく、他店では味わえない、そして売っていないと感じさせる「オンリーワンのスペシャル要素」を大切にしています。新メニュー考案の際は、ニューヨーカーがあまり馴染みのない日本食材をどのようにフレンチデザートとして日常に取り入れるか日々研究と試行錯誤を重ねて、完成までにに約1か月間ほどかかることもあります。

 一方でお客さまのニーズをもとにデザートを創作することもあります。ニューヨーカーは健康に対する意識が他のエリアの人々に比べてとても高く、食事に気を遣っている人が多いです。グルテンフリー、ビーガンやオーガニック食品に対する需要が高く、リクエストも多いことから、お店でもリクエストにあわせた食材を使用したデザートも開発しています。以前はグルテンフリーやビーガンのデザートは経験がありませんでしたが新たに挑戦を重ね、今ではクッキー以外はグルテンフリーで作れるものも増えてきました。ビーガン向けにはジャムとアイスクリームを提供しています。

(C)You Kitamura/Patisserie Fouetのデザート

ニューヨークで働く魅力について

—ご自身の経験から感じるアメリカ・ニューヨークで働く魅力はありますか?

 ニューヨークは挑戦者に対してフェアな街であると感じています。常に進化していく変わり続ける街なので、どんな歴史のあるお店でも、努力を続けていないと新たにできたお店に負けてしまう。経験を問わず実力社会で対等に競争できるところが面白いところですね。私自身がチャレンジ精神旺盛な性格のため、成長できるとてもよい環境で魅力的に感じています。

 現在は今までに経験したことのないコロナ禍で最大のチャレンジを経験しているニューヨーカーも多いと思います。お店も影響を受けていましたが、少しずつですがお客さまの数が徐々に戻ってきています。大変な状況は世界的にまだ続いていますが、少しでも多くの人に「Patisserie Fouet」のデザートを食べて元気に前向きになっていただき、一緒にこの時期を乗り越えていきたいです。

—ありがとうございました。今後のご活躍をお祈りします。

About

【プロフィール】

1971年生まれ。神奈川県出身。
高校卒業後、約7年ほど日本の製菓店やレストランでパティシエとして修行。東京にある製菓学校のパティシエ講師として、11年間勤務。2008年よりニューヨークに渡り、現在はPatisserie Fouetのエグゼクティブシェフとしてデザート考案から調理に携わる。

【Patisserie Fouetについて】

Patisserie Fouetは2018年1月に創業したフランス菓子店。日本食材を使用した革新的なフレンチデザートをコンセプトに、ランチタイムはパティスリー・カフェ、ディナータイムはデザートバーとしてデザートをメインで提供する。

「Patisserie Fouet」ウェブサイト
https://www.fouetnyc.com/

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