マンハッタンのウエストサイド、30丁目からGansevoort St.まで延びる「ハイライン」は、マンハッタンを空中散歩できる場所として観光客のみならず多くのニューヨーカーにも人気を集めている。アメリカン・ブック&シネマは8月5日、ハイラインの歴史をひもとく「High Line(ハイライン)」を発売した。
ハイラインは高架鉄道として1934年に完成し、ニューヨーク郊外やニュージャージー州から近隣の消費者に向けた食料品などの運搬に使われていた。しかし、車社会の到来により需要は激減。いつしか鉄道は廃棄され、人通りのない線路下は犯罪が多発した。2000年には取り壊しの計画が進められたが、少数派の市民によって「Friends of the High Line(フレンズ・オブ・ザ・ハイライン)」が結成された。寄付金集めなどにより公園建設が計画された。現在も残る高架鉄道線路やアートが組み合わさったハイラインは2009年のオープン以来、ニューヨークにいながらも都会の喧騒(けんそう)を忘れられる場所として人気を集めている。
アメリカン・ブック&シネマはアメリカのユニークな書籍を紹介しており、過去には経営本や著名人のスピーチ集の日本語訳を発売している。今回発売された本はハイライン再生に関わった多くのボランティアのストーリーを紡ぎ、和田美樹さん訳で出版された。前半ではハイラインの歴史がつづられ、後半には200点を超えるフルカラー写真を収めている。
ニューヨークに住む日本人女性は「ハイラインは好きでたまに散歩に行く。今まで何となくしか知らなかったが、ここの歴史を日本語で読めるのは興味がある。ニューヨークは古き良いものも大切にする街だとあらためて感じた」と話す。
価格は3,000円。