ニューヨーク近代美術館MoMA(11 W 53rd St.)で現在、歌手ビョークの回顧展が開催されている。連日入場券が売り切れる状態が続き、にぎわいを見せている。
同展は、作曲家やミュージシャンとして20年を超えるビョークのキャリアを振り返るとともに、これまでリリースされた8枚のフルアルバムの音楽を、ビジュアルや楽器、衣装と共に紹介する。2001年のアカデミー授賞式で着用し、物議を醸した「スワン・ドレス」も展示されている。
シネマ・ルームでは、デビューアルバムから前作の「バイオフィリア」までのミュージックビデオを大画面で楽しめる。母国アイスランドの風景を取り入れたものや、先鋭クリエーターたちとコラボレーションした作品など、幅広い表現が観客を魅了し、大型クッションが並べられた室内は常に人で埋め尽くされている。
にぎわいをみせる一方で、美術評論家からは批判の声も上がっている。作品紹介に始終するあまり、創作プロセス等には焦点が当てられておらず、ビョークの圧倒的人気にあやかった安易な企画だとして、強い批判を浴びせている。ニューヨークの前衛アートを支えてきた存在だけに、大衆受けするコンテンツへ傾倒していく同美術館に対し、失望の声を上げる美術関係者は少なくない。
開催時間は10時30分~17時30分(金曜は20時まで)。入場料は一般=25ドルなど。6月7日まで。