核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催中のニューヨーク国連本部前で5月7日、画家の増山麗奈(れな)さん率いるアート集団「桃色ゲリラ」が反戦パフォーマンスを行った。
当日は、画家の故丸木位里・俊夫妻が被爆者をモデルに描き上げた「原爆の図」の原寸大レプリカを展示。「戦争でいのちを失った母と子」をテーマに、広島・長崎原爆投下の被害とイラク戦争で使用された劣化ウラン弾についてつづったメッセージカードをカーネーションとともに配布した。目標は400枚。
「地元の人と話をしたが、広島や長崎について知る人が少なかった。ただ原爆投下国のアメリカを批判するのではなく、イラクで被害にあった米兵を含む人々についての事実も知ってほしい」と、パフォーマンスの趣旨を話す増山さんは1児の母。「イラクで劣化ウランの被害に苦しむ子どもたちを見ると自分の子どもに重ねた。母と子は世界共通。それをきっかけに心がつながれば」と説明する。
カード1枚1枚にカーネーションを添えるのは、今年1月にイラク戦争検証・院内集会で増山さんと知り合ったというフラワーアーティストの小澤弘邦さん。「南北戦争後の反戦が元で始まった母の日にちなみ、当時子から母に送られた白いカーネーションを選んだ。花びらには、広島の炎をイメージした赤がアクセントに混ざっている」と、造花にも反戦の意を込める。自らも3児の父という小澤さんは「子どもたちの未来を考えると自分も何かしなければという思いになる。若者にも立ち上がってほしい」と行動を起こすことの重要性を強調する。
カードとカーネーションを手渡された通行人には、うなずきながら話しを聞く姿も見られ、「皆、親身に話を聞いてくれた。中には涙を浮かべる人もいた。原爆の話は受け入れられにくいと聞いていたが、良い反応が見られてうれしい」と増山さん。
9日には「桃色のジャンヌ・ダルク」鵜飼邦彦監督作品が、ニューヨークのOuchi Galleryで上映される。