近年、パンデミックによるステイホームで生活を見直す人々も増えたという影響もあり、健康志向が急速に高まっている。それに伴い日本茶の需要も増えている。最近では若年層を中心に健康や節約など、さまざまな理由からお酒を飲めるがあえて飲まない“ソーバーキュリアス層”も増加。そこで健康的なノンアルコールドリンクの需要が増えてきているわけだが、日本茶もその例に漏れず、お酒を飲まない層が食事を楽しむ際の新たなオプションとして注目されている。
2月にはロサンゼルスとニューヨークでレストラン事業者に向けたセミナーも開かれ、日本茶に対する興味関心が高まっていることが伺える。セミナーではブルックリンを拠点にニューヨークのSushi NozやSushi Nakazawaなどの高級レストランを顧客に持つ茶卸兼小売りのKettlのオーナー、Zach Mangan氏が登壇。同氏によると「日本茶の持つうまみ成分は和食以外のキュイジーヌとも相性が良く、食事とのペアリングが楽しめる」と日本茶の魅力を話してくれた。また、東京で初めて焼き鳥屋としてミシュランの星を獲得した「鳥しき」の海外初店舗として知られる「Torien」では、すでに実際に日本茶を有償提供している。日本茶とのフードペアリングも行い、好評を得ているという。同店ソムリエの松本昭生氏も同イベントに登壇し、日本茶とフードペアリングの利点、レストランで日本茶を有償提供することのいくつかのメリットについて語ってくれた。「ビジネス面ではアルコールを飲まないお客様が日本茶メニューを注文することにより、レストラン側は客単価を維持でき、利益率の確保に繋がりる。また、さまざまな種類の日本茶を食事と合わせるという新たな食体験をお客様に提供することができる」と話す。
今回のセミナーを機に、イーストビレッジにある寿司居酒屋MINE Craft寿司 / GONGOやブルックリンにあるステーキハウスSalt + Charcoalなどいくつかのレストランが新たに日本茶メーカーと契約し、日本茶メニュー提供をスタートする。MINE Craft寿司 / GONGOマネージャーの岡田さんに日本茶の有償提供を決めた理由を聞いた。「健康志向が高まってきたことで、ニューヨークでも日本茶がお客様の中でも定着してきている。そうなると良質なお茶を有料で提供するというのは自然な流れですし、レストラン側にとってビジネス面でもメリットがある」。またSalt + Charcoalオーナー高山さんは、「まだまだ日本茶について詳しくないお客さんも多いけれど、これを機に良さを知ってもらえると思う」と語った。
日本茶を有償提供するレストランが増えることで、今まで日本茶の魅力を知らない層に新たなアプローチができると期待されている。