ニューヨークのアジア・ソサエティー(725 Park Avenue, New York)で9月9日、奈良美智さんの個展「Yoshitomo Nara : Nobody’s Fool」が始まった。
同展では、「Isolation」「Rebellion」「Music」と3つのテーマに分けて、過去の作品から最近の作品まで100点近くで構成。期間中に改造された「formerly Home」(タイトル未定)と「Door」も完成し、大きな見どころとなる。第1部の「Isolation」では絵画とスケッチ、彫像を展示。1980年代に制作されたスケッチと絵画からは、孤独感や寂しさなど、「鍵っ子」だった奈良さん自身の幼少時代をうかがわせる。
第2部では「Rebellion」のテーマの下、言葉やフレーズが書き込まれたスケッチと大判サイズの絵画を展示。奈良さんが練習として日常描くスケッチは、反抗やフラストレーションなど、子どもからわき出る感情を表現する。怒りなどの感情を描写した絵画からは、アーティスト自身を表現しているともとれる作品が並ぶ。
「Music」をテーマにした第3部では、奈良さんにとっての音楽の重要性が見どころに。自身のコレクションから選ばれたレコードジャケットを壁に飾り、昨年から今年にかけて制作された、セラミッックと銀、真ちゅうを使ったつぼや皿を展示。絶望感や不満を歌った楽曲に反映された作品が見られる。
同展を訪れていたマリー・ピエール・中村さんは「昔から奈良さん作品の大ファン。今回は絵画のほかにも詩的な作品、彫像が見られてとてもうれしい。素晴らしく構成されている」と話す。
同展の一部として9月7日~11月5日、アジア・ソサエティー前の通り、パークアベニューに巨大なオブジェ「White Ghost」を設置。70丁目と67丁目の中央分離帯2カ所に、奈良さんの作品に多く登場する犬と子どもをモチーフにファイバーグラスで制作した、こま犬をほうふつさせる彫像を展示する。
開催は1月2日まで。