今年2月の倒産により全米399の店舗を閉鎖する、米大型書店チェーン「ボーダーズ(Bordres)」の店じまいセールに多くのニューヨーカーが足を運んでいる。
全盛期にはニューヨーク市内に8店舗を構えた同チェーンだが、マンハッタン内の3店舗を2月に閉店。現在残っているコロンバスサークル店と34丁目のペンプラザで、本・DVD・雑貨などを含む全品を20%~40%引きで販売するセールを実施している。
普段から客足の多かったペンプラザ店には座って本を読む人の姿は少なく、常に満席だったカフェも既に閉鎖。ただ目当ての本を探して帰る人がほとんどの様子。「その本はもうない。昔のような接客ができなくて申し訳ない」と、電子書籍の普及を悔やむ声にもとれる口調で、客に話す店員の姿も見られた。
「紙の方が断然良い」という学生のメラニーさん(22)は、店を出てすぐさま購入した本を読み始めていた。「いつもボーダーズ派だった。無くなってしまうのは問題」と悔いる。「iPadは持っているが、目が痛くなるため書籍リーダーとしては使っていない」と書籍を支持する。
一方、店じまいセールに便乗し訪れたという主婦のマリソルさん(35)は「ちょうど先週末に夫から『nook』をもらった。小さい家のため書籍のように場所を取らないのが良いし確実に便利」と電子書籍リーダーに好意的。「バーンズ・アンド・ノーブルは書籍を買って2週間以内なら返品ができるが、電子書籍だとそれができない」(マリソルさん)と、唯一の難点もあげる。
全米2位の書店チェーン倒産の原因でもある電子書籍の普及に対し、ニューヨーカーの賛否の声は分かれる。
ニューヨーク市内のボーダーズ完全閉店日は未定。