オバマケアとは
オバマケアとは包括的医療保険改革法「アフォーダブル・ケア・アクト」の通称。国民皆保険を目指し、2014年1月1日から保険加入が義務化され、未加入者には罰金が科される。
政府が基準を定めた「民間の保険会社が提供するプラン」を購入できるオンラインサイトを「マーケットプレイス(オンライン医療保険取引所)」(他、エクスチェンジとも呼ばれる)と呼び、各保険会社が「クオリファイド・ヘルス・プラン(QHPs)」を満たした保険を4つのメタルレベル別に提供。
この保険は日本の国民健康保険のような公的保険プランではなく、民間の保険会社が提供するプラン。3月31日までに手続きを行わず、罰金免除も要求しなかった場合は翌年のタックスリターンの際に罰金支払い義務が生じる。
マーケットプレイスの特徴
個人や事業者がQHPsを満たした保険プランを購入できる「オンライン医療保険取引所」のことを「マーケットプレイス」と呼び、さまざまな民間医療保険のプランを価格、ベネフィット、質などの要素を直接比較&購入することができる新しい医療保険購入制度。「APTC(アドバンス・プレミアム・タックス・クレジット)」や「CSR(コスト・シェアリング・リダクション)」などの保険料の税金控除を受ける資格と控除額を確認し申請することもできる。
クオリファイド・ヘルス・プラン(QHPs)
政府が定める条件を満たした「民間の保険会社が提供するプラン」。マーケットプレイスで提供されているものは全てQHPsの保険であり、10項目のエッセンシャル・ヘルス・ベネフィットを保証している。メンタルヘルスや女性特有の検診(妊娠やマンモグラフィー)などをカバーし、既に病気の人の加入拒否や保険料値上げは禁止されている。
アドバンス・プレミアム・タックス・クレジット(APTC)
月々の掛け金を軽減するためのクレジットで、保険購入時にすぐに使用することができる。連邦政府が毎年定める連邦貧困レベル(FPL)を基準に、100~400%に該当する人は月々の掛け金を援助するAPTCを受給できる。
コスト・シェアリング・リダクション(CSR)
ディダクティブル、コーペイ、コーインシュランスなどの自己負担額を減額する補助金。ただし、シルバーレベルに加入し、連邦貧困レベル(FPL)の250%以下に該当する人のみCSRを受給できる。
オバマケア対象者・罰金免除者
在米日本人は(2)に当てはまり、オバマケアの加入が義務づけられている。ただし、収入がないためにタックス・リターンをしない者や非居住外国人としてタックス・リターンをしている者は免除される。したがって、収入のある学生は最初の5年間は免除され、6年目からは税務上の居住外国人であるかにより、保険加入義務が課せられるか決まるので、IRSに確認をした方がいい。
罰金額
罰金は翌年のタックス・リターンの際に徴収される。罰金額は年々上昇していくので、早い段階で加入を検討した方がいい。 罰金額は大人と子どもで指定された額(2014年は家族で最高285ドル、2015年は家族で最高975ドル、2016年は家族で最高2085ドル)か、世帯所得(タックスリターンで申請している額。1人の場合も適用される)の一部が罰金額とされ、額が大きい方が徴収される。
例)65歳未満のシングルで、2014年の世帯所得が5万5000ドルの場合は、罰金95ドルよりも世帯所得1%の額の方が大きいため、罰金額は550ドル程となる。
知っておくべき、保険用語
ディダクティブル(Deductible)
ある「一定の金額まで」の自己負担額(免責額)。これは1回ごとの治療に対する自己負担額ではなく、通常1年単位で設定されていて、この額を支払いが終わらないと、保険会社によるカバーは始まらない。
例)ディダクティブルが1000ドルでその年度内にまだ他に医療費を使っていない場合、手術を受けて5000ドルの費用がかかっても、1000ドルを支払わないと、保険が適用されない。ただし、全てのサービスにディダクティブルが適用されるとは限らない。
コーペイ(Co-Payment)
医師の診察を受ける度に「ある一定額」を医療機関に対して支払う自己負担額。
例)主治医での診断のコーペイが15ドルの場合、毎回診察にかかる度に15ドル支払う。
コーインシュランス(Co-Insurance)
ディダクティブルを満たした後、医療費の「一定の割合」を自己負担する割合のこと。
例)コーインシュランスが20%の場合、発生した医療費が4000ドルの時に、治療費の20%(800ドル)が自己負担となり、残り80%(3200ドル)を保険会社が負担する。
※ディダクティブルを満たした後の自己負担額が「コーペイ」になるか「コーインシュランス」が適用になるかは、診察や治療によって異なる。
自己負担限度額(Out-of-Pocket Maximum)
コーペイ・ディダクティブル・コーインシュランスなど、契約者が年間に支払う自己負担の最高額(保険料は含まれない)。自己負担額がこの金額に達すると、それ以上支払いをする必要はない。
マーケットプレイスで提供されている保険
保険料の低いものからブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4種類の「メタルレベル」がある。マーケットプレイスでは全ての保険会社がこの4つのメタルレベルで保険を提供しているので、プランを比較し、自分に合ったプランに加入することができる。また、4つのレベルは医療サービスやケアの質は全て同じで、自己負担額の割合が変わってくる。
5つ目のプランとして、「カタストロフィック・プラン」(州により名称が異なる)があり、30歳未満の若者を対象としている。ディダクティブルは高い設定となっているが保険料は安く、無料の予防サービスや主治医での検診が年3回までカバーされるなどの特徴がある。同プランはAPTC適用外。
期限
2014年3月15日
4月1日から保険を使いたい人の申し込み締め切り。
2014年3月31日
罰金を避けるための最低期限。(この場合は5月1日から保険が適用される)
2014年4月1日~11月14日
転職や解雇、離婚によって保険を失った人などのための加入受付期間。
2014年11月15日~2015年1月15日
2015年用の保険のための一般加入受付期間。これは来年度分の申込期間となるので、この期間に加入しなかった場合は翌年に罰金が科せられる。
申し込み方法
マーケットプレイスは各州によって異なるため、現在住んでいる州のウェブサイトで手続きをする必要がある。
オンライン(英語のみ)
ニューヨーク州「New York State of Health」
http://nystateofhealth.ny.gov
ニュージャージー州(連邦政府によって運営・管理されたサイト、他36州も同サイトから)
http://www.healthcare.gov
コネチカット州「Access Health CT」
http://www.accesshealthct.com
電話(唯一日本語で対応してもらえる)
ニューヨーク州の方は1-855-355-5777に掛け、言語選択で3番を押し、さらに5番を押す。英語のオペレーターにつながるので、日本語の通訳を頼むことができる。
オバマケアの質問や相談はJASSIへ
JASSIはニューヨーク市内や近郊に居住している方々に福祉サービスを提供し、生活の質の向上を図っている。1981年の創立以来、言語、文化および制度の違いから生じるさまざまな問題を抱え、支援が必要な人に専門教育・訓練を受けたバイリンガル・スタッフが福祉サービスを提供。「日系コミュニティーの駆け込み寺」とも呼ばれ、オバマケアをはじめ、生活に関わる相談を受け付けている。また、 無料セミナーも定期的に開いており、ソーシャルワーカーである担当者が分かりやすく解説する。
Japanese American Social Services, Inc.
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