チアリーダーから世界一リポーターへ

松井秀喜選手にインタビューをする小池さん

—チアリーディングを始めたきっかけ、アメリカでプロのチアリーダーになれた経緯を教えてください。

もともとスポーツが好きで、チアリーディングは「試合会場で誰よりも近い特等席でスポーツを観戦できる」という理由で始めました。その時から将来はアメリカでNFLのチアリーダーになりたいという夢を持っていたんです。

中学時代に2年間ニューヨークの現地校に通うなどアメリカに縁のある家庭に生まれたので、高校を卒業したらチアリーディングをもっと極めたいと思うようになりました。そして、やるなら、よりスケールの大きい本場アメリカでと自然と大学留学に気持ちが傾きました。どうすればプロのチアリーダーになれるのか調べた結果、全米の中でも特にレベルの高いケンタッキー州の大学に進学することに決めました。

進学先のウエスタンケンタッキー大学では3年間チアダンスチームに所属して、努力の結果全米大会で優勝することもできました。卒業後はプロのオーディションを受け、幸運にもNHLのナッシュビル・プレデターズのダンスチームに合格することができ、そこからプロとしてのキャリアが始まりました。

—最終的にNFLのチアリーダーになるという夢がニューヨークでかなったわけですが、そこでの経験は特別なものでしたか？

ニューヨークはさまざまな分野において求められるレベルが高く、エネルギーを持った人間が自然と集まるところです。私の所属したニューヨーク・ジェッツはベテランの集まるチームだったので、数々のプロスポーツチームで経験を持つチームメートと共に過ごせた時間は素晴らしかった。

私の場合、家族がニューヨークに住んでいたので、家族のそばにいられることが心の支えになりました。ジェッツのオーディションに受かったのが東日本大震災があった直後のことでしたので、何か起こった時に家族が近くにいる安心感は大きかった。夢だったNFLのチアリーダーになることが家族の住むニューヨークでかなったのは本当に奇跡でした。

—3大プロスポーツにおけるチアリーディングの特徴を教えてください。

アイスホッケーは主に上半身を使った踊りが多く、氷の上で滑るので動きは難しいです。バスケットボールは衣装替えが多かったり、動きの速いダンスが多かったので一言で言うと忙しいです。フットボールはスタジアムが大きいので、とにかく動きを大きく見せることが重要です。フットボールはシーズンの試合数が少なく各試合の注目度が高いので、常に満員の観客の前で踊れるという意味では一番好きでした。

—チアリーダー人生の中で一番心に残った試合はいつですか?

テロからちょうど10年目にあたる 2011年9月11日 が偶然にも私のNFLデビュー戦でした。さらにジェッツの対戦相手がダラス･カウボーイズという人気チームで、この一戦は異様な盛り上がりを見せました。ニューヨークに住む家族も応援に来てくれた上にジェッツが逆転勝利したので、ニューヨークにとって特別な日に家族の前で自分の夢をかなえた姿を見せられた試合は一生忘れられません。

—現在、チアリーダーを引退されて昨年からスポーツリポーターに転身されましたが、その経緯と今後の目標をお聞かせください。

小さいころから、チアリーダーになることとは別にリポーターになる夢を持っていました。ジェッツ時代にNFLジャパンの密着取材を受け、「この先日本でチアリーディングを広める仕事もいいけど、スポーツの魅力を伝えるメディアの仕事がしたい」と話したことがあって、そこから運よく今の仕事のお話を頂きました。

実は私が一番好きなスポーツは野球なのですが、チアリーダー時代には野球に関わることがありませんでした。しかし、現在はリポーターとして野球に携わる仕事が多くなっています。拠点となるニューヨークで今は、ヤンキースの田中将大選手の動きに注目しています。いずれは独占取材など自分だけの取材ネタを見つけ、世界一のスポーツリポーターを目指しています。いつか大手のスポーツ放送局のリポーターになれたら最高ですね。

—ありがとうございました。今後のご活躍をお祈りします。

About

【プロフィール】
小池絵未（こいけ・えみ）さん
1983年11月7日生まれ。東京都渋谷区出身。東京高校卒業後、米国ウエスタン･ケンタッキー大学に進学。2007、2008年にNHLナッシュビル・プレデターズ、2009年にNBAアトランタ・ホークス、2010年にNHLアトランタ・スラッシャーズ、2011年にNFLニューヨーク・ジェッツのチアリーダーとして活躍。米国3大スポーツリーグでチアリーダーに選出されたのは、日本人チアリーダーとしては史上初の快挙。2013年からはチアリーダーを引退し、現在はスポーツリポーターとして活躍中。

小池絵未さん　オフィシャルウェブサイト
http://emikoike.com/