ニューヨークのジャパン・ソサエティー(333 E. 47th St.)で2月27日、「精進料理:『からだ』と『こころ』にやさしい日本の食事」講演会と試食会が行われ、京都から「チーム精進」が渡米した。
精進料理は禅の教えが元になり、肉や魚を一切使わずに穀物・豆類・野菜などの粗食の生活を送ることで、心身共に修行に努めることを目的とされていた。講演会を行った棚橋俊夫さんは精進料理の基本ともいわれる「ゴマすり」をステージで披露し、「今日は皆さんにたくさんゴマをすります」と会場を沸かせた。棚橋さんは「野菜は太陽と水と空気があれば、栄養がたくさん詰まった食べ物を見返りを期待せずに作り出す『神様のような存在』だ」と話し、人間も「Give and Take」ではなく「Give and Give」ができるようになればよいと話した。
素材と向き合い、限られた材料で和食独特の繊細さを表現する精進料理は無駄がなく、芸術性にもたけていると評判。近年ニューヨーク市内には精進料理を扱うレストランができ、会場を訪れた約1~2割の人が精進料理を食べたことがあると答えた。「精進料理がやっとニューヨークで日の目を見る時代になってきた。精進料理は作るのも修行、食べるのも修行」と棚橋さん。
沖縄県宮城島の海水からできる命の塩「ぬちまーす」の高安正勝社長は、ミネラルが人間の体にとって重要な役目を果たしていると説明。「60年前の沖縄ではミネラルを多く含んだ食べ物を食していたため、母体を海に近い状態にし、世界一母子ともに健康な状態でお産ができていた」と話し、「現在は加工食品やファストフードなどでミネラル不足が進んでいる」とも。「ぬちまーす」にはミネラルが通常の塩よりも多く含まれていることを紹介し、「同商品を食べた「ぬち孫」や「ぬちマウス」は元気で賢く育った。将来ぬちまーすを食べてノーベル賞を取る子どもがいたら、ぜひぬちまーすの力だと言っておいてほしい」と会場の笑いを誘った。
講演会後には試食会が行われ、ゴマ豆腐や煮しめ、くずまんじゅうなど工夫を凝らし作られたヘルシーかつ心に優しい精進料理が振る舞われた。講演会に来ていたニューヨーク在住の女性は「ベジタリアンの私にとって、魚が主流というイメージがある日本より、アメリカの方が住みやすいと思っていた。でも、今回精進料理を知ってすごく興味が湧いたし、全てのメニューが本当においしくて驚いた。試食と一緒にレシピも付けてほしかった」と話した。