「トイレの神様」として知られるアーティストの植村花菜さんによる講演会が10月10日、NYミッドタウンのグローバルラボ(545 8th Ave)で行われ、会場に集まった約40人をトークと歌で魅了した。
植村さんによる講演会は、NYを中心に活躍するダンサーの中澤利彦さんが主催する「NYエンタメ・スポーツの会」で行われた。同会は、NYのエンタメ・スポーツ業界で夢に向かって挑戦を続ける人同士が刺激を与え合える場を提供することを目的として2015年から開かれ、今回で16回目。毎回、世界で活躍する人をゲストに呼ぶゲストトークの時間が設けられ、ゲストの経験談を通して、エンタメ・スポーツ業界で活躍するためのヒントを提供する。
中澤さんは、普段は主に観光バス「The Ride」のダンサーとして過ごしている。ダンスパフォーマーとしての活動だけにとどまらず、日本で講演活動やダンスのワークショップも行っており、それらを通して「人の夢が自分のことになること」を自身のライフミッションとしているという。中澤さんは「夢とか可能性とか形に見えないものは分かりづらいが、そういう気持ちを持った時に人は変われるし、自分もそうだったので、それを伝えたい」と活動のテーマについて話す。
植村さんは日本で2005年にメジャーデビューし、2010年3月にリリースしたミニアルバム「わたしのかけらたち」に収録された「トイレの神様」が上位を長期的ににぎわすロングヒットを記録した。2016年末から家族でNYに移住。現在はNYと日本を行き来しながら、精力的に音楽活動を行っている。
植村さんは、歌手になる夢をどのように追い続けてきたかをテーマに講演を行った。複雑な家庭環境で育った幼少期を振り返り、「音楽は希望」と植村さん。メジャーデビュー後に長く売れない時代を経験したときも常に新しいことに挑戦し続けたこと、仕事・恋愛・家族全てにおいてうまくいかない時期に音楽が書けなくたったときに恋人と別れて仕事だけに打ち込んだ過去を明かす。そんなとき、自分にしか書けない歌として家族について歌を作ったのが「トイレの神様」で、家族に対する思いの強さが作品の長さ(約10分)に表れているというエピソードを伝えた。
中澤さんは「今後もNYのエンターテイナーが支え合い、励まし合えるような場所を継続して提供したい。同様の場所を日本でも提供し、NYと日本のつながりをつくり、参加者にNYを身近に感じてもらえたら」とほほ笑む。