ニューヨーク市内110カ所の交差点で、路面から2つのギョロ目が、「LOOK!」の文字と共に歩行者をにらんでいる。
同市交通局が今月から始めた交通安全キャンペーンの一環として導入された「標識」で、過去に死亡や重傷事故が起きた市内の交差点の路上に描かれている。去年交通事故で亡くなった人の57パーセントは歩行者だったということから、横断歩道を渡ろうとする歩行者へ注意を促すために編み出された。
標識は横断歩道上に、耐久性のある熱可塑性物質でペイントされている。「LOOK」の「O」2文字が目の形になっていて、「目玉」の向きを見ると車の来る方角がわかる仕組み。同時に近くのバス停や電話ボックスなどにも同キャンペーンの広告が貼り出され、相乗効果が上がるよう工夫されている。車のドライバーにも注意を呼び掛けるため、今後は市営バスの車体後部の広告スペースにも掲示される。
ニューヨーク市内では2010年1年間で、けがを伴うような交通事故が9200件近く発生し、41人が死亡した。「ニューヨーカーはスマートフォンを見ながら歩き、注意が散漫になっている。『見る(LOOK)』という簡単な行動が、毎年起きる何千件もの事故やけがを防ぐことができる」と、同局のコミッショナー、ジャネット・サディクカーンさんは話す。
「LOOK!」標識やキャンペーン広告は今後、約200カ所の交差点と300台以上のバスに掲示箇所が広がる予定。