ニューヨーク近代美術館MoMA(11 W 53rd St.) は、2011年に買収したAmerican Folk Art Museum(アメリカン・フォーク・アート美術館)の旧展示場ビル(45 W 53rd St.)取り壊しを発表した。
82階建ての新タワー建設を予定しているMoMAは、現美術館と新タワーをつなぐ空中通路のスペース確保のために、買収したビルの取り壊しを発表。同ビルの透明感のない外観は、MoMAの美術的価値観に一致しないとして、今回の決定に至った。
アメリカン・フォーク・アート美術館は1961年に設立され、2001年にMoMAに近接した場所にビルを建設するも経営が悪化。救済措置としてMoMAが買収し、アメリカン・フォーク・アート美術館はリンカーン・センター近くに位置する小規模なスペース(2 Lincoln Square)に移動した。
同ビルをデザインしたトッド・ウィリアムズさんとビリー・ツィェンさんは「われわれの建築物は2001年、9月11日に起きた米同時多発テロ後の希望と愛国心の象徴だった。ニューヨークの象徴としてこれから何百年も愛され続けていくと願ってデザインをしたのに、建築後わずか十数年で取り壊されるなんてとても悲しい」と共同声明を発表した。
取り壊しの具体的な日程は未定だが、一部の市民からは反対運動が起こっており、すでに2000人以上から作業中止を求める署名が集まっている。