Macy's
Macy'sの外観
ニューヨークで最も有名な「ホリデー・ウインドー」といえば、ブロードウェイ沿い、34ストリートに位置する老舗デパートの「Macy's(メイシ―ズ)」だ。毎年2パターンのディスプレーが用意され、一つはメイシーズが舞台となったクリスマス映画「34丁目の奇跡」をモチーフとした装飾が34ストリート沿いディスプレーの恒例となっている。
「Yes,Virginia,there is a Santa Claus(ヴァージニアちゃん、サンタクロースはいるんだよ)」
しかし今年は「34丁目の奇跡」に代わって、「Yes,Virginia,there is a Santa Claus(ヴァージニアちゃん、サンタクロースはいるんだよ)」の実話をもとに作られた絵本(絵本の内容はフィクション)のウインドーが用意された。
絵本のキャラクター
この絵本は、メイシーズの企画提案により2009年にアニメーション化され、毎年この時期にCBSで放映している。今年も12月9日に米大手放送局のCBSで放送された。
そしてもう一つは、ブロードウエーアベニュー沿いに毎年異なるコンセプトで製作され、今年は難病の子どもたちの夢をかなえる団体「Make-A-Wish Foundation」との共同制作で「Make a Wish!」をテーマに14体のオーナメントが用意された。メイシーズ恒例の動く人形と共に、今年はグラフィック映像も駆使され、夢を語る子どもたちの写真が映像の一部として映し出される。
14体のオーナメントの一部
Saks Fifth Avenue
たくさんの見物客が集まる「Saks Fifth Avenue」
5アベニュー沿い、ロックフェラ―センターの向かいに位置する高級デパート「Saks Fifth Avenue(サックス・フィフスアベニュー)」は、毎年子ども向け絵本をモチーフにしたディスプレーが特徴。
絵本「Who Makes the Snow」の主人公も登場
ウインドーの外側にまで装飾を施したり、絵本のデザイナーとコラボレーションをした遊び心満載のアニメーションを用いたりと、子ども連れには特に人気がある。 今年はサックスが独占販売する本「Who Makes the Snow」をテーマに、実際のバスタブや泡が吹き出す仕掛けなどが用意されている。
今年はウインドーの一つに、Gucciが手掛けたFiat 500のカスタムモデルも展示。 発売当初からイタリアの2大ブランドが手を組んだことで非常に話題になっただけに、今回の限定モデル展示には大きな注目が寄せられている。
Fiat 500 by Gucci | 仕掛けが施されたオーナメント
ホリデー・ウインドーと平行して数年前から始まった、ビルディングの外観一面を利用した「投影ショー」も見応え十分で、ほかのデパートと一線を画したホリデー・ウインドーを体験することができる。
さらに今年は「3D映像」が導入され、以前にも増して迫力のある投影ショーを楽しむことができる。
Bloomingdales
Bloomingdalesの外観
3アベニュー沿い、59ストリートに位置する「Bloomingdales(ブルーミングデ―ルズ)」のディスプレーは、遊び心にあふれ、親しみやすくかわいらしいデザインが特徴。
ショッピングバッグをかたどったウインドー
今年のコンセプトは「ショッピングバッグ」で、各ウインドーにはブルーミングデ―ルのさまざまなホリデーショッピングバッグが飾られ、ホリデーをイメージするアニメーションなどの仕掛けが施されている。
訪問者自身がウインドーの一部になれるというユニークな試 みも行われ、訪問時に撮影された写真がディスプレーに飾られたり、フェイスブックのギャラリーに特集されたりする。加えて、各週異なる限定ショッピングバッグを入手することもできるという。
ショッピングバッグに入ったクマのデコレーション
Lord&Taylor
Lord&Taylorの外観
5アベニュー沿い、ニューヨークパブリックライブラリーの南に位置する「Lord&Taylor(ロード&テイラー)」は、毎年クラシックな「ホリデー・ウインドー」が特徴。
伝統的なクリスマスのイメージをやや機械的に表現した独特のオーナメントで、老若男女問わず家族一緒に楽しめる。
今年は、カール・Cウィルソンのイラスト「What is Christmas made of?」がコンセプトで、この問いかけに対して、子ども達が思い思いに描いた絵がディスプレーの一部として飾られている。 オーナメントでは、家族でツリーを飾りつけする様子や、子どもたちが楽しそうにそり滑りをする様子、サンタクロースに会いに行く親子の姿など、家族で過ごす暖かいホリデーのイメージがディスプレーされている。
サンタクロースと子どもたち
Barneys New York
Barneys New Yorkのエントランス
Madisonアベニュー沿い、61ストリートに位置する「Barneys New York(バーニーズ・ニューヨーク)」のウインドーは毎年エッジの効いた、スタイリッシュで毒のあるユーモラスなディスプレーが特徴。
特に今年は、世界的に有名なレディー・ガガさんとコラボレーションをした「Whimscal World GAGA's Workshop(ガガズ・ワークショップ)」 が5階にオープンし、ガガさんが描く奇妙で奇抜なサンタのワークショップが一面に実現されている。
「ガガ・マシン」ウインドー
それと共にホリデー・ウインドーも「ガガ色」一色。ホリデー・ウインドーは「ガガ・コンステレーション」「ガガ・マシン」「ガガのブドワール」「ガガのクリスタルケーブ」という4つのテーマに分けられ、それぞれのウインドーにレディー・ガガのユニークな肖像が飾られている。
5階にあるワークショップの入り口には巨大グモに扮(ふん)したガガが出迎えし、1フロア一面に広がる大規模なディスプレーには、本物のイエローキャブをガガ色に塗りつぶしたオーナメントも見られる。
レディー・ガガさんをモチーフにしたディスプレー
「GAGA's Workshop」の売り上げから25%をレディー・ガガのチャリティー財団「Born This Way Foundation」へ寄付するということもあり、各商品はやや高めの価格設定になっているが、ここでしか手に入らないオリジナルアイテムも多数用意されている。ワークショップは2012年1月2日までオープン予定。
Bergdorf Goodman
Bergdorf Goodmanの外観
5アベニュー沿い、セントラルパークの南に位置する「Bergdorf Goodman(バ―グドルフ・グッドマン)」もバーニーズ同様、独自のセンスを光らせるディスプレーが特徴。
というのも両者の距離は歩いて5分、毎年奇抜で過激なディスプレーを手掛けるバーニーズに対して、バ―グドルフ・グッドマンも負けずとその細やかなセンスと独自の路線で毎年注目を集めている。この時期、「ホリデー・ウインドー」を巡って両者がしのぎを削っていると言っても過言ではない。
シマウマや蛇、プードルなどが集うウインドー
バーグドルフ・グッドマンといえば、もともと「ウインドー・ディスプレーのお手本」として世界的に有名で、「ホリデー・ウインドー」のディスプレーにおいてもハイセンスなファッションだけでなく、本物のアンティークを使った細やかで美しい装飾が目を見張る。
今年のコンセプトは「動物のカーニバル」。ウインドーに並ぶマネキンの頭が動物になっており、それらが羽織る衣装は毛糸、紙、ビーズなどさまざまな素材を細やかな職人芸で仕上げた、ため息のでるようなものばかり。
この時期数あるホリデー・ウインドーの中でも特に見物客が多く、訪れる女性たちからは 「一度で良いからあの美しいドレスを着てみたい」という声が多数聞かれる。
動物のほかにも魚のデコレーションも見られる
Henri Bendel
Henri Bendelの外観
5アベニュー、56ストリートに位置する「Henri Bendel(ヘンリ・ベンデル)」の今年のコンセプトは、その名もまさに「ニューヨーク」。
今年125周年を迎えた「自由の女神」を主役に、ミニチュア版ニューヨークの街がポップに表現されている。
この女神がまとうドレスには、スイカ、ルートビアー、梨の3つのフレイバーの「ジェリービーンズ」が3000個以上使われおり、社員が昼夜かけて製作したお手製のもの。
女神と共にニューヨークを散歩する赤いトナカイの角を付けた犬は、ヘンリ・ベンデルがよく、女性が犬を散歩させるシルエットを商品のモチーフにしていることから、今回も用いられていたという。
女神の目下に広がるニューヨークの街並みには、「Radio City」の看板や街中を走り抜けるミニチュア版イエローキャブなどがリアルに再現されている。
この時期、ニューヨークは一年で最も華やかで盛り上がるシーズン。そんな人々の喜びに満ちたムードをより鮮やかに彩ってくれる「ホリデー・ウインドー」は、今やニューヨークには欠かせない大切なイベントとなっている。
自由の女神をモチーフにしたデコレーション